「一緒にいるのは、一人だけなの」
一人。
後にも、先にもただ一人だけを生涯愛し続ける。
それが、私の生まれた一族の婚姻の掟。
一度、婚姻を結ぶと生涯その人だけを愛することとなる。
私たち一族にとって、甘美な束縛。
死しても尚、離れることのない絶対的な絆だから・・・・・・。
約束 〜 2人の出会い 〜
(キラside)
「俺も、伴侶は一人でいい」
諦めようと…そう思って言った「ひとりだけなの」という言葉に返ってきたのは、それだった。
それは、アスランにはそんな人はいないということを示していて。
それだけでも嬉しいのに、その言葉には、もう一つの意味が込められていた。
共に生きるのは、一人だけだと。
それは、キラなのだと。
そう言っていた。
自分の種族は一夫一婦制で、しかも一度伴侶となった者とは、死を持ってしても分かたれはしないのだ。
二人目は、いないのだ。
それらをアスランは、満たしていて。
ならば後は、自分の気持ちだけ。
それだけが、総てを決める。
「キラ、一緒にいてくれる?」
そんなキラに、嬉しい言葉をまたくれて。
いいの…だろうか?
こんな自分が…何の取り柄もない自分などが、ステキなアスランの隣に立ってもいいのだろうか?
いつか。
キラを選んだのは気の迷いだったと、自分以外の誰かを選んで離れていったりはしないだろうか?
もしもアスランが自分と同じ種族であったのなら、これほどに迷いはしない。
一度選んだものから離れるなど、ありえないのだから。
でも、アスランは違う種族。
何の種族かは知らないけれど、それくらいは分かる。
なら、その習慣とかは、全然違って。
中には沢山の人といるっていうのもあるらしい。
同じ一人だけというのでも、想いの貫き方は自分たちとは違うかも知れない。
自分たちのような想いの形は、他にはないかも知れない。
でも!
キラは、アスランと一緒にいたかった。
アスランとだけ、いたかった。
それがキラの、偽らざる想い。
だから。
「……見せ…て…も、い…い…?」
そう、言った。
2007/08/29
|