「私を照らす星として、共に在ってくれませんか?」
キラ。
彼女にぴったりな、愛らしい名前。
これは、定めなのだろうか?
夜明けを意味する俺の名前と、光り輝く星を意味する名前を持つ少女。
彼女を、彼女の姿を見たときから・・・彼女を欲した俺の心。
誰にも動かされなかったこの想い、彼女に届くのだろうか・・・・・・。
約束 〜 2人の出会い 〜
(アスランside)
一緒にいて欲しいと、自分と生涯を共にあって欲しいと言っても、キラは返事をくれなかった。
「キラ? 俺といるのは、いや?」
だから、自分はその対象ではないのかとそう思ってしまって。
でも、キラを諦めらるなんてできなくてそう言った。
足掻きと笑わば笑え。
彼女を手に入れるためならば、何でもしよう。
そして、キラの返事だけを待った。
「ひとり・・・なの」
でもアスランの耳に聞こえたのは、そんな言葉。
否定ではないけれど、肯定でもないその言葉が意味なのか、一瞬分からなくて。
「え?」
と、そんなちょっと間抜けな声を出したのだが。
「一緒にいるのは、一人だけなの」
そう、キラは言い募った。
とても、真剣な表情で。
それに暫し考えて、キラの言いたいことを察する。
そう。
この世界には、幾種類かの者達が存在する。
それらの者達は、人間形態となるのは共通するのだが、本性やも何もかもが多様で。
当然、婚姻に関しても色々な形態を持つ。
アスランの属する龍族は、一夫多妻を常としている。
アスラン自身はそんな婚姻の形態を毛嫌いしていて、娶るならば一人だけでいいと常より思っていた。
だが、伴侶は複数というのを受け入れている者が殆ど…というか、アスラン以外にはいないのが現状で。
実際、彼以外の者達は“ひとりだけでいい”そう言うアスランを変わり者扱い―その実力により蔑まれることはないが―してくれる。
彼の種族にとって、それが常識なのだから。
キラには自分の種族は言ってはいないけれど、そういう種族もあることをきっとキラは知っているはず。
ならば、キラが自分にはもう一人や二人の伴侶がいるのだと思ってしまっても、仕方がないだろう。
ましてやキラの言い方からすれば、キラの種族は一夫一婦を常とすると考えられる。
それもかなり厳格な。
となると、種族はかなり限られてくる。
その中には敵対している種族もあって、もしそうだとするならば、
キラを伴侶とするのは容易なことではないだろうと思える。
だが。
キラの言葉は、アスランを喜ばせた。
だって、何も思ってなどいない相手に、こんなことは言わないだろうから。
だが、キラは言った。
ということは、キラは自分のことを好いていてくれると、伴侶になっても良いと考えていると言うことで。
アスランには障害となるものは、今のところないのだから。
だから。
「俺も、伴侶は一人でいい」
そう、言った。
自分は、独りなのだと。
一人でいいと思っていると。
その言葉に込めて。
種族など関係なく、キラの言葉が欲しいから。
「キラ、一緒にいてくれる?」
心からの言葉を、紡ぐ。
2007/08/22
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