「なぜ、あいつらは俺たちの【平和】を壊すんだろうな? 俺たちが、あいつらに何かをしたか?」



テロと言う名で俺たちの【平和】を滅茶苦茶にする組織。
そして、俺や彼女にとって奴らは復讐するべきもの。
いや、俺たちだけではないか。
奴らに肉親や親しい者を殺された同胞たちは数多い。




連合のトップを奴らが牛耳っていると言うのなら、今度こそこんなことを起こさないように
完全に・・・叩き潰す。


俺の至宝にトラウマと言う、心に大きな傷跡を残したのだから・・・・・・。
その代価は、大きい・・・・・・・・。








12. 君と一緒に








「やっぱりアス、軍に志願するの・・・・・?」



キラは、アカデミー入学の書類を待ったアスランを見詰めていた。



「キラの平和を脅かす彼らを許すことが出来ない。 それに、奴らは小父さんたちを殺したんだから」



キラの両親はある理由から、メンデルで暗殺された。


表では事故とされているが本当はオーブのアスハの秘密を知っているからだと、
メンデルにあるユーレンさんの使っていた今は起動していないコンピュータをハッキングして、
その記録から俺とキラは知った。



あの事を知られたくなくて、キラの両親をブルーコスモスに売り殺させた奴がいると。



「僕も一緒に行く。 僕もアスを守りたい。 ここで、震えながらアスの還りを待つよりも・・・・。
・・・怖いけど、アスの傍にいたいから。 アスを失いたくないから」



キラは両親をなくして以来、親しい誰かが側から離れて行く事。
それも、アスランが自分から離れていくことが一番怖かった。



「分かった・・・・。 キラは、俺が守る。 だから・・・・キラも一緒に行こう」



アスランもまた、キラの両親が亡くなって以来、キラが自分の側から離れる事を極端に怖がった。



だから、これからも二人は何時も一緒に歩いていく。


硬く手を握り合って・・・・。










「やはり、行かれるのですね。 イザーク・・・・」



ジュール邸にイザークの婚約者であるラクスが尋ねてきた。
イザークの母、エザリアからイザークが軍に志願したと通信で言われたからだ。
そして、その知らせを聞きつけたラクスは、
イザークに真意を問うためにクライン邸からジュール邸へと向かったのだった。



「あぁ。 このプラントを・・・何より、ラクスと母上を守りたいからな。 ココにいても、守れない。
・・・二度と、あのユニウスセブンのような悲劇を起こしてはいけないんだ」



あの日から、テレビで見たあの映像が頭から離れない・・・・。



罪のない人々が住む農業プラントが核の攻撃で消えてなくなるのをただ、
見ることだけしか出来なかった自分が情けなかった。



「俺も行くぜ? 俺も、あいつらを許すことは出来ないからな。 ・・・核を使用したあいつらを」



ジュール邸に先に来ていたイザークの幼馴染のディアッカも同じ気持ちだった。



「わたしは、この地から貴方方の無事を祈って歌いますわ」



ラクスは、歌姫としてこのプラントの地で歌に祈りを込めて歌う事を決意する。



「必ず、俺はお前のところに戻ってくる。 何があっても」



強い決意でイザークは愛しい少女に誓う。
一緒に進む未来のために・・・・。




そして、ディアッカはこの幼馴染と一緒に戦う事を胸に誓う・・・・・・。










アマルフィ邸にピアノの悲しみを癒すようなメロディが流れている。
この屋敷の1人息子のニコルが母のために奏でていた。



「・・・・ニコル。 お父様から聞きました。 軍に志願したのね」



ニコルは弾いていた鍵盤から手を下ろした。



「・・・・すみません、お母さん。 僕は・・・」



ニコルは、ユニウスセブンの核攻撃をメディアで見て以来、
自分で何かこのプラントのためになることがないかを探していた。


そして、見つけた・・・軍に入ってこのプラントを守ろうと。

プラントを守ることは即ち、大切な両親を守ることにも繋がるとニコルは思った。



軍に志願することを真っ先に父であるユーリに相談して、入る事を決意した。



「ニコルが決めたことでしょう? もう、お母さんは反対はしないわ」

「お母さん・・・必ず帰ってきます。 この家に」



母がそっと、立ち上がってニコルを胸に抱き寄せる。



「・・・・ええ。 無事に帰ってきて頂戴ね」



母に抱き締められながらニコルは、胸に決意する。
両親と一緒にいる為に・・・・。





















2007/01/16
Web拍手より収納