02. 廊下 ―オマケ・訓練直後―
《勝者、ザラ・ヒビキペア! カプセル開放。 各自、敗因などをシミュレートするように》
制御室にいる教官の声と同時に、彼らの入っていたカプセルの扉のロックが外され、
外の冷えた空気が彼らの頬を撫でた。
「・・・敗因ですか。 キラさんたちみたいに早く構築することが先決ですね・・・。
それができないようじゃ、彼らに太刀打ちできませんから」
「そうだよなぁ。 不意打ちを狙ったつもりなのに、避けられちまったし。
あれ、どうやって予測したんだ?」
若草色の髪を持つ少年は自分の入っていたカプセルから出ると、苦笑いを浮かべながらアナウンスを聞いた。
そんな若草色の髪を持つ少年に同意したように、
黄金色の髪を持つ少年はため息を吐きながら先ほどまで行われていたシミュレーション内容を思い出していた。
「・・・その前に、バーチャル世界での記録があるだろうが。 移動するぞ」
「そうだな。 それを聞けば、何を話しているか解るだろ? 一応、始めから録音されているだろうし」
銀色の髪を持つ少年はイライラした様子で目の前を歩く黄金色の少年の背を押し、
橙色の少年もまた、そんな銀色の少年の行動に苦笑いを浮かべた。
「・・? 何をやっているんだろうね」
「さぁ? まぁ、どうせみんなこっちに移動するんだから・・・放って置いていいんじゃないか?」
鳶色の髪を持つ少女は不思議そうに首を傾げ、
そんな少女の仕草に微笑を浮かべた紺瑠璃色の髪を持つ少年は背後から少女を抱き締めた。
そんな少年の行動に驚きを見せずに受け入れた鳶色の髪を持つ少女は
自分を抱き締める少年に嬉しそうに微笑み返した。
戦闘記録などが収められている別室に移動した4人は、今回の勝者・・・連勝中の2人を見つけ、
彼らの姿に見慣れているためかそのまま通り過ぎると記録データが保管されているパネルを操作し、
先ほどまでの記録を引き出した。
「・・・ラスティ、文句を言う前に素早く構築しましょうね?」
「・・・悪かったな。 今度から気をつけるさ」
「・・・貴様、俺が伝えた作戦間違えたな?」
「・・・ややこしいんだって。 以前使用した作戦に似ていたじゃん」
それぞれの記録には、全て今回の作戦内容や戦闘中の情報交換しか入ってはいなかった。
尤も、全ての機体は紺瑠璃色の髪を持つ少年と鳶色の髪を持つ少女が
ほぼ瞬殺の状態で戦闘不能にしているため、内容的には少ないが。
「さて、アスランとキラさんの会話記録はどうなんでしょうか?
先ほどの戦闘シミュレーションから行って・・・精密なモノが記録されていると思うのですが・・・・」
若草色の髪を持つ少年の言葉に、今回のことで一番気になる彼らのバーチャル世界での会話が気になっているのか、
早速とばかりに彼らのデータを引き出した。
「「「「・・・・・・・・」」」」
「? みんな? どうしたの??」
「何、そこで固まっているんだ。 見終わったのなら、さっさと廊下に出るぞ。
今回の成績が掲示板に表示されるんだからな」
データの保管される閲覧用PCの前で仲良く固まる4人に対し、
紺瑠璃色の髪を持つ少年に抱き締められたまま解放されていない鳶色の髪を持つ少女は首を傾げ、
少女を抱き締めたままの少年は固まったままの彼らを一瞥してその場を後にしようとした。
「・・・・流石・・・としか、言いようがありません・・・ね」
「・・・・おい、これって・・・・」
「・・・なんで、こんな会話であんなことが出来るんだ?」
「貴様らっ! 俺たちをバカにしているのか!?」
2人が退室した後、漸く正気に戻った彼らの第一声であった・・・・・・。
― バーチャル世界(MS戦闘中)でのアスランとキラの会話 ―
『アスラン、これが終わったら・・・今日の訓練は終了だよね?』
『そうだね。 あ、そういえば今日、父上から呼ばれているんだった』
『小父様から?』
『そう。 もちろん、キラも一緒だよ。 父上はキラのこと大好きだからね』
『僕も小父様、大好きだよ? あ、アスランが一番だからねっ』
『解っているさ。 俺も一番はキラだよ? キラへの愛と母上たちへの親愛は、別だからね』
以上、戦闘記録(MS内での)として残っていたデータであった・・・・・・・。
書き下ろしのオマケです。
・・・・アスランたちは、日常的な会話をしながらMSを操作しております;
彼らに、コンビネーションするための会話は・・・今更です(滝汗)
長く時を共にし、尚且つ今では依存関係となった彼らは・・・
自然と相手が何を考えているのかを大体把握してしまうので;
こんなオマケですが、楽しんでいただけたら幸いですv
今後とも、宜しくお願いいたします♪
2006/12/12
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